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『テイルズオブシンフォニア』のロイド受けで小説を書いていきたいと思います。 今、はまっているのは、ルクロイとゼロロイです。 コメントなど頂けると、励みになります!!
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こんにちは。
かなり遅れて『シンフォニア』を知り、ロイド君が大好きになった飛翔と申します。
同士の方は、是非よろしくお願いします!
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父の声

*『力を持つ者、対峙する』の続きです。


大きな蒼い翼を背にしたロイドが、ゆっくりと目をあける。
が、いつもは明るい輝きを宿しているその瞳は、今ひどく虚ろだった。


「ロ、ロイド…?―――っ!?」
「「えっ!?」」

ロイドへと近付きながら、声をかけたルークが、突然頭を抱えてしゃがみ込む。
それを、ミトスとエステルは驚きの目で見つめる。

「ちっ!さっきの薬が効いていやがる!!おい、ルーク!そいつに同調するなっ!!!」
「ぐっ…ぁぁっ!!」

アッシュがルークに怒鳴りつけるが、ルークはしゃがみ込んだまま、苦しげに呻き続ける。


「そんなっ…。私の力では薬の効果を消せなかった……?」
「間に合わなかったのかもしれない…。」

エステルの戸惑いの言葉に、ミトスは眉をしかめながら呟く。

 

 

 


ロイドは、形ある闇に身体を囚われていた。
口を塞がれ、腕も足も動かせない。
頭も固定され、自由なものは呼吸と瞳くらいだった。


そしてロイドの目の前で始まる、悲劇……。


「ロ、イド…………。」

1mも離れていない距離に立つ女性は、涙を流しながら眉を寄せ、苦しげにロイドの名を呼び続ける。
答えたいのに、助けたいのに、闇に拘束されているロイドには、そのどちらも出来ない。

「あ…あぁっ!」
「っ!!!!」

女性の背後の闇から、長い刃物が現れ、女性の身体を貫く。
女性が地に倒れると同時に、ロイドの頭は、女性を見上げる角度に変えられ、再び固定される。

「た、すけ………てぇ…………………。」
「――――――――――っ。」

地は血の海となり、それはゆっくりと広がっていく。
ロイドの足も、すぐにその海につかった。
なおも聞こえてくる女性の苦しむ声に、ロイドの瞳から涙があふれ出した。

 

 

どれだけ、時間が過ぎただろう…。
気が付けば、女性の悲痛な声は聞こえなくなっていた。
ロイドは、未だ流れ続けている己の涙で、視界がぼやけていたが、それでも視線の先…地が赤一面なのは分かった。


「アンナ…、あぁ、アンナ、こんな所に居たのか。」

何処からともなく、静かな声が聞こえてきた。
血の海へと迷いなく進んできたのは、赤い髪の…何処かで見たような気がする男だった。
男はロイドの足もとに屈むと、動かなくなった女性を抱き起した。

「さぁアンナ、一緒にロイドを探しに行かねば。きっと今頃淋しい思いをしている…。」

男の声は、どこまでも穏やかで優しげに響くが、目の前の光景の全てがそれを裏切っている。
ロイドから見える赤は、はたして男の髪の色か女性の血の色か……。
依然、ロイドの涙は止まらなかった。

 

 

 

「ぐっ………………。」
「この馬鹿野郎がっ!同調の解き方もしらねぇのか!?」


両手で頭を抱えたまま呻き続けるルークの身体は少しずつ光を纏い始めていた。
ルークとロイドの同調が強まった事を感じ、アッシュは怒鳴り声をあげるが、ルークの耳には届かない。


ルークは、今ロイドが見させられているモノを、客観的な視線で見ていた。
けれど、ルークの存在は、その幻覚の中に入る事が許されなかった。
結果、ルークがいかにロイドを助けようともがいても、叫ぼうとも、ロイドには届かず、残酷な幻覚は続いていくばかりだった。

自力ではロイドが囚われている幻覚の中へ入れないと悟ったルークの意識は、ロイドから少し離れる。
激しい頭の痛みを感じながら、ルークは目を開いた。

「っ!----!!!!!」

アッシュが何かを喚き散らしているのが見えたが、はっきりと聞こえない。
ルークは、頭を抱えていた左手を離し、その人物へと伸ばした。

 


「っ!?」
「「「!?」」」

苦しげに顔を歪めたルークに突然腕を掴まれたクラトス同様、アッシュたちも驚きに目を見開く。

「ロイド、を……………っ!」
「っ!」

「クラトス!?」
「「ルーク!!」」

次の瞬間、ルークが纏っていた光がクラトスに移り、ルークは倒れた。
そして、クラトスも膝を折り、頭を片手で支えて苦しげに呼吸を繰り返す。


―――ロイドを………っ!―――


頭に響いてきた声を最後に、クラトスの視界は真っ黒に染まった……。

 

 

 

 

 

「ロイド…こんな所に居たのか。心配したぞ。なぁアンナ…。」
「っ………。」

止まらぬ涙で濡れ切っている頬に、男の手が触れる。
その大きな手は紅で染まっていて、ロイドの頬にその紅を塗りつける。
血のドロッとした感触が頬に伝わってくる。
もう片方の手に女性を抱え、男は依然穏やかな声でロイドと『アンナ』…妻の名を呼び続ける。

ロイドはもう気付いていた。
紅に染まって動かなくなっている女性は自分の母で、そして今目の前にいる男は………。


「さぁ、行くぞロイド。三人で共に過ごそう…。」
「――――っ。」

頭も口も動かせないロイドは、見つめる事しか出来ない。
ぼやけた視界に入ってくる男の口元は、笑みを象っているように見えるが、はっきりとはしない。

そんな時、男が顔をロイドに近付ける。

「っ!!!!」
「ロ、イド…。」

見開いたロイドの目に映った男の口元から、血が流れていた。
そして、ロイドの頭は再び角度を変えられ、男の腹が見える所で固定される。
長い剣が男の腹に貫通していた。
そして、後から後から、男の背後から鈍い音が聞こえ、その度に男の身体を貫く剣が増えていく。
倒れない男と、その男に片腕で支えられている女性…。
見開いている瞳ではっきりと見せられたロイドは、言葉では表せない程の激情に支配されていく。

 

バサッ!!!

 


「ふっ……ははははっ!!これが…これが、アーヴィングの力の源ですか!!!!素晴らしいっ!!!!」

幻覚を外側から観察していた男…クヴァルは、ロイドの背に蒼く輝く翼を観止め、声を上げた。

「この力を私の為に使えれば…………っ!?」

闇に捕えさせているロイドに手を伸ばそうとした時、クヴァルは後ろから打撃を受ける。
次の瞬間には、クヴァルの姿はその空間から消滅した。
同時に、ロイドを囲っていた幻覚も闇も消え去る。
残ったのは、翼を広げたロイドと…クヴァルからロイドを解放したクラトスだけだった。

 

「ロイド…。」

クラトスは、ゆっくりとロイドに歩み寄る。
そして、気付く。
…ロイドが固く瞳を閉じ、全てを拒絶するかのように身体を小さく丸めている様に…。

「ロイド………。」

ロイドに声をかけながら、手を触れようとすると、ロイドの口から小さな声が聞こえてくる。

「ぃやだ……かぁさん……とぉさん………。」


―――見たくない、聞きたくない………―――


幼子のように泣きじゃくっているというのに、顔を俯かせて独りで苦痛に耐え続けている姿に、クラトスはたまらなくなる。

 

クラトスはゆっくりと…逆立ったロイドの髪に触れ、優しく撫でた。
反応を返さないロイドに、撫でる手を休めることはしない。
小さいが、聞こえ続ける両親を求める声…。

クラトスは、躊躇った。
今更、自分がこの子に何をしてやれるというのかと…。

 

『こたえてやってくれよっ!このままじゃ、ロイドは戻れない!!!』

ロイドの意識の空間の中に、直接響いてくる声に、クラトスはハッとする。
この声は…この声の主は、自分をココへと連れて来てくれた少年だと気付く。


『ロイドは、あんたが苦しみ続けているのは自分のせいだって思ってるんだ!自分が悪いってっ………だからっ、だから父親って分かってからも会いに行こうとしなかったんだ!!』
「っ!?」
『自分が近付けば、あんたはずっと過去にとらわれ続けるから、だから会いにはいかないって………。頼むよっ!ロイドを―――――――』


そこで、少年の…ルークの声は途絶えた。
今のルークが、ロイドの意識の空間に干渉する限界が来たためだろう。

 

クラトスは一度目を閉じ、それからゆっくりと目を開く。
目の前の独りで泣き続ける我が子に顔を寄せ、静かな声で、けれどはっきりと告げる。

「ロイド、迎えにきた。私と一緒に、帰ろう?」
「っ…。」

クラトスの声に、今まで無反応だったロイドがピクリと肩を揺らした。
そして、首を横に振る。

「帰りたく…ないのか?」

訊ねるクラトスに、ロイドはまた首を振り、言う。

「かあさん、も…とおさんっも……真っ赤……。血、たく、さんっ……いなくなっちゃぅ!」

ロイドは幻覚の中で、ずっと見せられ続けていた光景に脅えていた。
どんなに穏やかな声でも、優しげな声でも、目を開いてしまえば、それらは全て温かなものではなくなってしまうから……。

 


「…目を開けなさい、ロイド。」

ロイドは、自分の目元に確かな温もりを感じた。
その温もりは、自分の涙で湿るだけで、先程の様な嫌な感触はない。

「大丈夫だ。私は生きてここに居る。」

その言葉と共に、大きな手がロイドの手を優しく握る。

「ロイド。」


優しい声と、消えぬ確かな温もりに…とうとうロイドは薄目を開く。
始めに紅が見えて、ビクリとしてしまうが、それでもゆっくりと目を開く。

そこには、紅い髪と紅い瞳を持つ男が居た。
何処か懐かしい感じのする、穏やかな表情に、込めていた身体の力が抜けていく。

「とぉ…さん?」

ロイドが小さな声で呟くと、男は嬉しそうに目を細め、優しげな笑みを浮かべた。

「共に帰ろう。お前が許してくれるのなら、話したい事が沢山あるのだ…。」
「う、ん………。」


ロイドは何とか返事をし、ゆっくりと目を閉じる。
ロイドの意識に作り出された空間が、光に包まれ、静かに消えて行った…。


**********************
長いもの続きですね(汗)
詰め込み過ぎて、解説が追い付かないです(--;)

ロイドを幻覚+闇で拘束していたのは、クヴァルの意識ではなく彼がロイドに使った薬の作用です。
アッシュに倒されたクヴァルは、今も倒れているはず…。

このシリーズだと、クラトスが特別な力を持っている設定ではないので、ルークの力でロイドの中に入れたとしました。

バーサスをやっているのですが、クレスをロイドの親戚設定にしたくなりますね(笑)
二人のお母さんが姉妹とかで、従兄設定!
**********************

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健やかなる目覚め

*『父の声』の続きです。



変に温かい…。
自分の右手をすっぽりと包みこんでいる大きな手は、少し低い体温で、握る指の優しい力加減に心が落ち着く。
逆に左の手を握る力は、ギュッと容赦なく強くて、そして手は自分の手より大きいのに、その手は子供の体温のようにとても温かい。

少しずつ意識が浮上する中、両手が身体の両側からそれぞれ拘束されているのを感じたが、それはロイドに安心感を与えてくれていた。

 


「………。」


ゆっくりと目を開くと、真っ白な高い天井が見えた。
少しだけボーっと天井を見つめていたが、まるで急かす様に右手を包んでいた手が、握る指に力をこめてきて…ロイドは不意に右手に力を入れ、そちらを向く。
紅い髪の男が、そこに居た………。
自分を迎えに来てくれた……優しい、父親の顔をして手を握ってくれた………………――――――

「父、さ…ん……。」

初めてそう呼んだ時と同じように、嬉しそうに目を細めたところまでは、同じだった。
クラトスは、口元を少し綻ばせた後、ロイドの右手にもう一方の手も添え、両手で握りこんだ。
そして、額がその手に触れるくらい、顔を伏せ、まるで祈る人のような姿勢になる。

どうしたのかと、ロイドが口を開きかけた瞬間、クラトスは言った。


「ロイド…。」


たった一言。
だが、その一言は、色々な想いが籠められているように、ロイドには聞こえた。
『喜び』や『悲しみ』と言った言葉では片付けられないような深い深い響き。
ロイドは、大きな手に包まれた指にギュッと力を入れて、握り返した。
ゆっくりと顔を上げたクラトスの表情を見る前にと、ロイドは口を開いた。


「迎えに来てくれて、ありがとうな。」


目が合ったクラトスは、驚いたように目を開いていて………それが少し面白く感じられて、ロイドは笑った。
クラトスの口が戦慄く。

「ロイド…っ、よく、生きていてくれた………!」

そう言ったクラトスの声は震えていて…。
今度は両手で握りこんでいるロイドの手に額を押し付けた。
ロイドは、そんな『父親』の姿に、少し戸惑いながら、右手の指に力を込める。
泣いているのかもしれない……堪え続けているのかもしれない………そんなクラトスの姿から、ロイドは感じる事ができた。

自分がどんなに想われ続けていたか………どれ程、想われているかを。


「っ…!」

気付けば、ロイドは目頭が熱くなってきていた。
目の前の『父親』から伝わってくる想い……それに重なって感じる温かな優しい『母親』想い。
知らなかった両親の想いを、今まさに感じて、胸が温かさでいっぱいになって身体の外に溢れ出てしまうように………ロイドは涙を流した。

 

不意に頭を上げたクラトスと目が合う。
気恥ずかしくなり、思わず目を閉じて左手で涙を拭おうとして思い出す。
左手も拘束されている事を…。

「あっ!」

少しだけ左手を持ち上げてしまったロイドは、それ以上左手を動かさないようにしながら、視線を左手の方へ移す。
そこには、見知ったバイト仲間のルークが居た。
ロイドの手を力いっぱい握りながらも寝コケている様だった。

「どうしてルークが…。」
「お前の傍に居たいと言ってきた。」
「え?………んっ。」

クラトスの言葉に、今度はそちらに顔を向けると、大きな手がロイドの涙を拭った。
その優しい大きな手と、穏やかな笑みに、ロイドは気恥ずかしさなど忘れ、自分も笑みを浮かべていた。

「サンキュ。」
「目を覚ました時にお前が泣いていたら、ソイツも益々心配するだろう。」
「あぁ、ルークって変に心配性だからな。」

 

しっかりと涙をぬぐってもらったロイドは、もう一度クラトスに礼を述べ、ルークに握りこまれている左手に力を込めながら目を閉じた。

「………。」

クラトスは、ロイドの身体が蒼い光を帯び始めるのを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

『ルーク。』

ロイドの声が聞こえてきて、ルークは振り返る。
そこには、やはりロイドが居て…お日様みたいに笑って、自分に手を差し出してきた。

『起きろよ。』

ロイドの口は笑みを象ったまま動いていないのに、声は確かに頭に響いてきた。

「……起きたら、ロイドも起きてるよな?」

目の前の手を握りながらルークが訊ねると、ロイドはキョトンとした。

「………だって、お前…何度揺さぶってもピクリともしなかったんだ。」

ルークは、ロイドの手を握る手に力を込める。

「何度呼びかけても、目を開けなかったっ………!」

『……ルーク。』

思い出して、ルークはギュッと目をつぶる。

 


クラトスによって薬の作用から抜け出したロイドは、ぐったりとしていて、顔も青白くて……細い身体が尚更細く感じられた。
その時の恐怖を、再び思い出して、ルークは眉間にしわを寄せる。

と、頭にポンっと手が置かれる。

『心配掛けて、ごめんな。』

優しい声に、思わず顔を上げると、困ったように笑うロイドが見えた。

『何かたっぷり寝たみたいでさ、今すっごく頭がさっぱりしてるんだ。だからさ、起きて、一緒にクレスの入れてくれるコーヒー飲みに行こうぜ?』


その言葉に思わず笑みを浮かべて、ルークは力強く頷いた。

 

 

 

 

 

 


「…ん~。」
「おはよ、ルーク。」

夢と同じに、ロイドの手を掴んだままの状態にルークは安堵し、身体を起こした。
目の前の、本当に元気そうなロイドを見て、あくびをした後、笑いながら言った。


「んじゃ、クレスのコーヒー飲みに行こうぜ。」
「おう!」


ロイドの元気な返事に、ルークはくすぐったくなって、また笑った。

**********************
またまた久々更新で、ホントすみません(汗)

少し前に、こちらのブログに拍手機能を使えるようになったと知り、更新急ぎたいな~(汗)と思っていたところです。
もっとも、廃れすぎてて、拍手機能は必要ないかもしれませんが……そこは純粋に機能を楽しもうとおもっております(笑)

**********************

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力持つ声の正体

*『健やかなる目覚め』の続きです。



「…って事で、コーヒー入れてくれよ、クレス!」
「うん、それは構わないんだけど……。」

いきなり『ファンダム』にやってきたルークは、ロイドの手を引いて元気いっぱいな様子で、クレスは安心した……が。


「えーっと…何人分、入れればいいのかな?」

ロイドの後ろから、見知ったルークにそっくりな少年を始め、見覚えのある赤髪の男が顔を出し、見覚えのない顔も見えてきた。
後何人いるのかとクレスは思わず指をさして数えだしそうな自分を抑えた。

 

 

 


念には念を、という事で、倒れたロイドはファブレ家専属の医師に診てもらい、ルークの屋敷で眠らされていた。
ロイドに続きルークが起きた後、二人はその場に居たクラトスに『クレスのコーヒー飲んでくる。』とだけ告げて、待ちきれないように駆け出し………アッシュに捕まった。
二人が、怒り狂っているアッシュに首をかしげていると、ミトスがやってきて、アッシュの怒りを鎮めてくれた。
が、コーヒーよりもまず話し合いが必要だと真剣な顔でミトスがロイドを諭し、それもそうかとロイドが頷こうとした時、その手を握っていたルークが「だぁーーー!!!」と叫び出ぶ。

『話し合いなんて、コーヒー飲みながらでも出来るっつーのっ!!』

大声でそう主張したルークに引っ張られるままに、ロイドはファブレ邸を出る。
が、気が付けば後ろにはミトス、クラトス、アッシュ、エステルがついてきていた。

 

 


「お待ちどう~。」
「サンキュー、ロイドっ!」


テーブル席に座ろうとしたルークは、当然ロイドの隣に座るつもりだった。
が、ニコニコと微笑みながらも「ロイドの隣に座らせてね。」としっかり主張したミトスと、そんなミトスに鋭い視線を送っては、ロイドへ席へと目を動かすクラトスの行動に、…………ルークは自分がハズレクジを引く可能性を消す方法をとった。

よって、皆はカウンター席、ロイドはクレスと並んで皆の正面で、クレスが入れたコーヒーを渡してくれる。
カウンター越しなれど、呼べば正面に来てくれるロイドに、ルークは大満足だった。

 

 

ロイドはクレスが言うとおりに、カウンター席に座っている皆にコーヒーを渡していく。
まずは、そわそわしてあからさまに落ち着かない様子だったルークに。
次にニコニコと穏やかに微笑んでいるエステルに。
ジッとこちらを見ていたクラトスに。
楽しそうに、クラトスとこちらを見比べているミトスに。
そして、ルークと同じ顔の作りをした……不機嫌を隠そうともしないアッシュに。


「お前だろ?」

アッシュにコーヒーを渡しながら、ロイドは言った。
座っているアッシュがロイドを見上げる。


「…………。」
「俺には『声』しか聞こえなかったけど……お前には俺が見えてたみたいだった。あれは、お前だろ?」
「…………………。」

ニコニコと微笑みながら訊ねてくるロイドに、アッシュは内心焦っていた。
何も〈こんな〉場所で言わなくてもいいだろう!?と、どなり散らしてやりたいくらいだが、ここにはミトスもエステルも、そしてルークもいる。
アッシュとしては、もっとも宜しくない人物が揃っていた。

「なぁ…―――」
「うるせぇっ!俺は静かにコーヒーが飲みてぇんだよっ!!」

誰よりも大きな声をあげて、そう言ったアッシュに、ロイドは首を傾げる。
怒らせるような事を言っただろうか?と思っていると、『声』が脳内に響いてきた。

―――この場で変な事、言いだすんじゃねぇっ!―――

目の前には、フンっ!と視線をそらしたアッシュ。
脳内に響いてきた『声』は確かにアッシュのもので………。
ロイドは初めてアッシュと話した時と同じように、フッと笑って「素直じゃない奴だな。」と呟いた。

 

 


気持ちが悪いくらい色白の男、クヴァルを目の前に意識を失って、母の想いをみて…………それから目を覚ましてルークに触れた時、ロイドはアッシュに声を掛けられた。

『お前は…。…………どうして俺に干渉出来る?』

突然の事に、ロイドは思わずルークの髪に触れていた手を離す。

「…………。」

何も聞こえてこない事を確認してから、もう一度…今度は軽く包む感じでルークの髪に触れる。

『話す気がねぇなら、始めから干渉してくるんじゃねぇよっ!!』

その声は耳から聞こえる訳ではなく、直接頭の中に響いてくる。
ぎゃぁぎゃぁと続く文句に、姿が見える訳でもないのに、ロイドは強い生命力の光を感じる。

「お前は、ちゃんと生きてるんだな。」

『当たり前だっ!…………まだ死ぬ訳にはいかねぇんだよっ…。』

強い力の光が、ロイドの目の前で眠っているルークの傍で揺らめいているように感じた。


『……………………。』

「…そうか、ルークを待ってるんだな。」

凛としている光は、ルークに近付く事を躊躇っている。
けれど、一定の距離を保ったまま、離れない………近付く許しを得られるまで待っているように……ロイドには、そう思えた。

『んなっ!?ふ、ふざけんじゃねぇっ!!!!!そんな訳がねぇだろうがっ!!!!!!!!!!!』

途端、慌てたように言葉を並べる『声』に、ロイドは笑いながら言った。

「素直じゃない奴だな。」

『黙りやがれっ、このガキがっ!!!』

乱暴なその言葉に、ロイドは怒りよりもまず、疑問を持つ。
『声』には、俺の姿が見えてるのだろうか?……と。

そして、アッシュはロイドに教えてくれた。
『特別な力』の事や、眠っている時は勝手にルークに意識が引きずられている事を。


「気が付きゃ、コイツ(ルーク)の中にいた。だから俺はよく知ってるのさ。コイツがどれ程、俺を嫌っているか、な。」

嘲るような響きは、ルークに対してではなく、自分自身に対して言っているように聞こえた。
思わずムッとして、ロイドは言った。

「俺も知ってるぜ?ルークがどれだけ感情表現に苦労してるか、さ。」
「…………どういう意味だ?」

ロイドは、包み込んでいるルークの朱色の毛先を指でクルクルといじりながら呟く様に言った。

「喜びや悲しみとか、単純なのは解ってると思う。…けど、淋しさや戸惑い……絶望とか、そう言ったドロドロしたもんは多分、ルークの中で整理しきれていないんだと思う。」

ルークは時に外見よりも幼い行動やしぐさをし、時にロイドが驚くほど大人な表情をし、難しい言葉をつかう。
そんな時、ロイドはルークの表情を見ることにしている。
彼が見せる大人な表情は、すべて苦しげなものが見え隠れしていて、ロイドにもどういった感情なのか解らない時がある。
ルーク自身が解らないまま、自らの気持ちを持て余しているようにも思えた。

「……………………」

その時、ロイドはルークの兄については何も知らなかった。
けれど、ルークに気付かれずに傍に居れる事・ルークに害を及ぼす気がない事は明らかで、きっと何か繋がりがある奴なのだろうと思った。

 

 

「そう、アッシュは全然素直じゃないよ。メールとかだと落ち着いてる感じなのに、実際テレパスしてみるとギャンギャン騒ぐしね。」
「そうですね。アッシュはとっても元気いっぱいです。」

ロイドの呟きを拾い上げ、ミトスは少しからかう様に言い始める。
それに何度も頷きながら、自分の意見を言うエステルは無邪気な笑顔だ。

そこでまたアッシュが怒鳴り始め、クレスの素早い判断により、ロイドは[貸し切り]の札を看板に重ねに行った。



**********************
今回は、以前書いたものの謎な部分を明らかにしただけで終わってしまいました…。
『解き放たれた力』、ですね。
ロイドが独りでしゃべり続けるところがあったのですが、そこです。
アッシュと話していたんですよ、ということで(汗)


閲覧してくださっている皆様、拍手を始め、コメント、本当にありがとうございます。
とても励みになっています!

今回は全然、親子話に触れられなくて申し訳ないです(__;)
また次回に!!



色々なサイト様をまわっていて、気が付くと他のキャラともロイドを仲良しにさせたくなりますw
収集がつかなくならないよう、そこは区切りをつけていきたいと思います!ということで、また別のお話もイメージ中です。

読んでくださり、ありがとうございます。
**********************

拍手

投票したぜっ!

「ユーリー!フレンー!!」


元気に響いてきた声に、話を中断してユーリとフレンは目を向ける。
そこには二人の想像通りの人影があった。
めいっぱい手を振って、満面の笑みを浮かべて駆け寄ってくるロイド。
ロイドの両脇には、ノイシュとラピードがいて、ロイドと息を合わせて二人の所までやってきた。

「あっちでさ、人気投票っていうの、やってたんだ!ユーリとフレンはもう投票してきたか!?」

駆けてきたせいで少し荒い呼吸の中、ロイドは目を輝かせて二人に訊ねる。
ユーリとフレンは目を合わせ、揃って苦笑しながら、利き手をロイドの頭の上に置いた。

「情報遅いぜ、ロイド。あれは3日前から始まったんだとさ。」
「えぇっ!?」
「まぁ、僕らも投票してきたのはついさっきだけどね。」
「何だよ~…。せっかく連れてってやろうと思ったのにさ~………。」


くしゃっとロイドの髪を慰めるように軽く包むユーリ。
ポンポンと軽く叩いて、労わるように頭を撫でるフレン。
ロイドが、二人の大きな手に負けないように、グッと頭を上げて見上げてみると、二人はいつもの優しい笑みを浮かべていた。

励ますように、二人の手が、ロイドの頬を滑って肩を叩く。


「ロイドがこれから投票に行くなら付き合うよ。」
「あぁ。そもそもお前が見つからなくて、フレンと様子見に行ったんだしな。」
「一体何処に居たんだい、ロイド?ロイドが行きそうな所はユーリと探したんだけど…。」

二人の言葉に、ロイドは大きな目を更に開き、シュンッと肩から力を抜いた。

「ごめん、探してくれたのに………。」

申し訳なさそうにしているロイドに、ユーリもフレンも気にするなと声を掛ける。
もう一度、頭を撫でてくる二人の手に、ロイドは漸く笑った。

 


「アスベルにアイリリーの裏の山まで連れてってもらってたんだ。クロソフィの花が咲いてるって、教えてくれてさ。」
「「アスベルと!?」」
「うん。クロソフィの花、綺麗だったんだけど、ルークが踏んじゃってさ…。。」
「「ルークも一緒に!?」」

アスベルの名が出、驚いた二人は、立て続けにルークの名が出てきて、もう声を抑えられなくなっていた。
アスベル・ラント、ルーク・フォン・ファブレ、この二名はロイドにくっつきたがるので、要注意人物としている。
 


「ロイドっ!裏山にはモンスターもいるんだ!ただでさえ危険な場所へ、危険な人物と一緒に行くなんて、軽率すぎるっ!!」
「けい、そつ?」
「そうだぞ、ロイド!あの坊ちゃんズには充分に警戒しろって言っただろ!?」
「け、けーかい……???」

勉強が苦手なロイドは、二人の言葉にクエスチョンマークを浮かべるばかりだ。

 


「…………すぅ……くー…。」
「「………。」」

あれから、ロイドに対する説教が始まり、そこから坊ちゃんズ対策へと話が発展し、ユーリとフレンが意見をまとめてロイドを見れば、肝心のロイドは眠っていた。
飽きっぽいロイドは、二人の終わらない話し合いに欠伸をこぼし、やがて抗えぬ眠気に襲われて眠ってしまったのだろう。

肩を落とすフレンに自分も一息吐いて、ユーリは軽くコツンッとロイドの頭を叩いた。
そんなユーリを見、それでも眠るロイドに、フレンは苦笑した。

交代で二人におぶられながら、ロイドは健やかに眠り続けた。

 

 

 


「ユーリとフレンに一票入れたんだ、俺!」


翌朝、ロイドの作った朝ごはんを三人で仲良く食べていると、ふと思い出したと笑ってロイドが言った。

「………え?」
「おい、ロイド。それって………。」

少し頬をひきつらせたフレンとユーリに気付かぬまま、ロイドはニッコリと微笑んで言う。


「一番好きな人への投票だよ。」

二人とも、俺のかっこいい兄貴だもんな!と少し照れながらも満面の笑みで続けるロイド。

「ははっ、そりゃ…どうも。」
「あ、ありがとう、ロイド。」

 

『無効投票』

 

ユーリとフレンの頭に同時に浮かんだものは、喜びともうひとつ…。
ロイドの勉学に対する姿勢を改めさせる事であった。


(勉強ばっかりやらせる気はねぇが……ロイドの為だ。)
(一刻も早く、ロイドに最低限の一般常識だけでも覚えさせないと…。)

 

どこか暗い笑みを浮かべているユーリとフレンに、ロイドは首を傾げるばかりだった。

 

 

 

「あ、最強コンビの投票は、ユーリとフレンとラピードにしたぞ!」
「「一般常識ぃぃーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」」

兄たちの苦悩はまだまだおさまらない………。



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気が付いたら投票が始まってますね、テイルズチャンネルw
迷わずロイドに一票入れてきたのですが、迷ったのはコンビでした。
ロイドは決定として、さて相棒は誰に…。

相棒にしたい相手が多すぎて挫折しました……(__;)

って、事で初の下町コンビ+ロイドです(^^;)
ロイドがモトなら、誰でもOKだっ!!

親子長編の続きが、上手くまとまらなくて唸る毎日です…。
もう少々お待ちくださいね(汗)
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ロイド・アーヴィング

*『力を持つ声の正体』の続きです。



「まずは自己紹介からですよね。私はエステリーゼっていいます。エステルって呼んでくださいね。」

そう言って、礼儀正しく頭を下げた少女は、ルークとアッシュの知り合いらしい。


「アッシュがずっと入院していた病院は、私の親戚の病院なんです。」

ルークたちの父親は、古くから付き合いがあり人物的にも技術的にも信用できるエステルの親戚にアッシュを託した。

 
 

「そういや、あの色白の気持ち悪い奴はどうしたんだ?逃げたのか??」

ふっと思い出したと言わんばかりにロイドが首を傾げて言った。
ロイドの、怯えや憎しみを一切感じない物言いに、クラトスやミトス、アッシュたちは目を見開き、ルークとクレスは苦笑した。

「ホンット、お前は大物だよなぁ~。」
「ロイドはロイドって事だね。」

 


「アイツは警察に突き出したよ。」

ミトスが底冷えしそうな冷たい声で言うのに、ロイドは小首を傾げた。

「え、でも警察に突き出したって、罪を認めさせられるのか?」

クヴァルがロイドにした事は、一般の警察では理解できない『力』に関わる事なので、意味がないのではないかとロイドは思った。
が、ミトスが首を横に振る。

「ロイドが赤ん坊だった頃、アイツはクラトスに怪我を負わせたからね。被害者であるクラトスが訴えれば、とりあえずその罪だけは認めさせられる。」
「あっ………そ、か…。」

ロイドは過去の光景……クラトスがクヴァルに刺される姿を思い出して、表情を曇らせた。

「お腹の傷…まだ、痛むのか?」
「っ―――――――――。」

恐る恐るといったふうに訊ねたロイドに、クラトスは目を見開いた。
そして何も答えないクラトスに、ロイドは首を傾げる。
聞いてはいけない事だったのだろうかと…。


「……ロイド、クラトスの刺された時の事覚えてたりする?」

答えられないクラトスの隣から、ミトスが顔をロイドに近付け、真剣な表情で質問した。
ミトスの雰囲気に少しおされながら、ロイドは首を横に振った。

「全然。けど、みたんだ……母さんが、見た『もの』が、まるで俺が見たものみたいにみえた。」
「ロイドのお母さんがロイドにみせた…?」

スッと目を細め、纏う雰囲気を冷たくしたミトスに気付いた訳ではないだろうが、ロイドはその質問に首を振ることですぐ答えた。
しばらく黙って目を閉じるロイドを、皆が見守る。
ゆっくり目を開きながら、ロイドは口を開いた。

「みせるつもりはなかったんだと思う。多分…ずっと俺を守る為に、俺の中にいてくれたんだ。でも、いきなりアイツが俺の前に現れて、恐怖が広がったんじゃないかな。」
「……………。」
「アイツが現れた時の事、ホントはよく覚えてないんだ。訳が解んねぇ間に<怖い>って気持ちでいっぱいになって、気付いたら母さんの過去の記憶をみてた。」
「お母様の恐怖が、流れ込んできてしまったんですね……。」

ロイドの話に頷きながらエステルが呟く。

「なの、かな?……俺が知ろうとするのを止めようとしてた。俺が俺自身の記憶として思い出すのを心配してくれてたみたいなんだけど…俺、思い出せないんだよな~。」

だって、赤ん坊だったんだし。と笑うロイドの笑顔には陰りがない。
その事に、ミトスはホッとする。
ずっと海外に行ったきりの両親を持つミトスは、身勝手な親の行為に過敏だった。
ロイドの母、アンナは違ったのだと、とりあえず纏う空気を緩めた。


「人によっては、『力』が勝手に記憶をこじ開けることもあるんだよ。生まれた瞬間を覚えてる人もいるんだ。」
「へぇ~、すっげーなぁ!あっ、テストの時に『力』使えれば、徹夜しなくても勉強した事思い出せるんだな!」
「「ぶはっ!」」

ミトスの説明に頷き、いいよなぁ~と言うロイドに、ルークとクレスが噴き出す。

「っロイド…君は相変わらず……。」
「ははっ、単純な奴っ!」

大爆笑する二人に、ロイドは頬を膨らませる。

 

「ロイドはとても強い人ですね。」
安心したように、エステルが微笑む。
ミトスはその言葉に頷き、アッシュはフンッと鼻を鳴らした。

 

 

場が和やかになり、クラトスの返答を求める流れは切り離されていた。
隣に座っていたミトスは、クラトスがテーブルの下で自らの腹を押さえているのを見た。
長い前髪で隠されたクラトスの表情は窺いようもなかったが、ロイドの突然の質問に激しく動揺しての行動だと理解していた。

古い傷は、痕は残っているものの、もう塞がっていて痛みはないと、以前クラトスは言っていた。
その傷跡は、力足らずの自分を戒めるものとも思っていそうなクラトスだ。
何の準備もないまま、ロイドの質問に答える事はできなかっただろうと、ミトスはため息をついた。
そしてコーヒーカップを口元に近付け、微笑みながら控えめな声で囁く。

「まぁ、ロイドなら、クラトスのネガティブ思考なんて全部散布させちゃうだろうけどね。」


ミトスは確信を持っていた。
ロイドの持つ、本当の意味での強い『力』は、彼の心であると。


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更新、遅くなりました(汗)
待ってくださっていた方々には、本当にすみませんでした!

前回はアッシュの事を優先してしまいましたが、今回は親子に…なっていたかな?(汗)
事件後、肝心の犯人(クヴァル)をどうしたかを書いていなかったので、とにかくそれを書いてみました。
まだ書いていませんが、ミトスとアッシュはオンライン友達という感じで考えています。
出来れば、ルークとアッシュの和解(?)編も書きたいです。
ルークをロイドが救ってくれたように、アッシュにはナタリアを中心とした人たちが支えとなってくれていたと…。
アシュナタも好きなんです。
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