忍者ブログ
『テイルズオブシンフォニア』のロイド受けで小説を書いていきたいと思います。 今、はまっているのは、ルクロイとゼロロイです。 コメントなど頂けると、励みになります!!
カレンダー
08 2025/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
飛翔
性別:
女性
自己紹介:
こんにちは。
かなり遅れて『シンフォニア』を知り、ロイド君が大好きになった飛翔と申します。
同士の方は、是非よろしくお願いします!
バーコード
ブログ内検索
最古記事
P R
[17]  [18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

健やかなる目覚め

*『父の声』の続きです。



変に温かい…。
自分の右手をすっぽりと包みこんでいる大きな手は、少し低い体温で、握る指の優しい力加減に心が落ち着く。
逆に左の手を握る力は、ギュッと容赦なく強くて、そして手は自分の手より大きいのに、その手は子供の体温のようにとても温かい。

少しずつ意識が浮上する中、両手が身体の両側からそれぞれ拘束されているのを感じたが、それはロイドに安心感を与えてくれていた。

 


「………。」


ゆっくりと目を開くと、真っ白な高い天井が見えた。
少しだけボーっと天井を見つめていたが、まるで急かす様に右手を包んでいた手が、握る指に力をこめてきて…ロイドは不意に右手に力を入れ、そちらを向く。
紅い髪の男が、そこに居た………。
自分を迎えに来てくれた……優しい、父親の顔をして手を握ってくれた………………――――――

「父、さ…ん……。」

初めてそう呼んだ時と同じように、嬉しそうに目を細めたところまでは、同じだった。
クラトスは、口元を少し綻ばせた後、ロイドの右手にもう一方の手も添え、両手で握りこんだ。
そして、額がその手に触れるくらい、顔を伏せ、まるで祈る人のような姿勢になる。

どうしたのかと、ロイドが口を開きかけた瞬間、クラトスは言った。


「ロイド…。」


たった一言。
だが、その一言は、色々な想いが籠められているように、ロイドには聞こえた。
『喜び』や『悲しみ』と言った言葉では片付けられないような深い深い響き。
ロイドは、大きな手に包まれた指にギュッと力を入れて、握り返した。
ゆっくりと顔を上げたクラトスの表情を見る前にと、ロイドは口を開いた。


「迎えに来てくれて、ありがとうな。」


目が合ったクラトスは、驚いたように目を開いていて………それが少し面白く感じられて、ロイドは笑った。
クラトスの口が戦慄く。

「ロイド…っ、よく、生きていてくれた………!」

そう言ったクラトスの声は震えていて…。
今度は両手で握りこんでいるロイドの手に額を押し付けた。
ロイドは、そんな『父親』の姿に、少し戸惑いながら、右手の指に力を込める。
泣いているのかもしれない……堪え続けているのかもしれない………そんなクラトスの姿から、ロイドは感じる事ができた。

自分がどんなに想われ続けていたか………どれ程、想われているかを。


「っ…!」

気付けば、ロイドは目頭が熱くなってきていた。
目の前の『父親』から伝わってくる想い……それに重なって感じる温かな優しい『母親』想い。
知らなかった両親の想いを、今まさに感じて、胸が温かさでいっぱいになって身体の外に溢れ出てしまうように………ロイドは涙を流した。

 

不意に頭を上げたクラトスと目が合う。
気恥ずかしくなり、思わず目を閉じて左手で涙を拭おうとして思い出す。
左手も拘束されている事を…。

「あっ!」

少しだけ左手を持ち上げてしまったロイドは、それ以上左手を動かさないようにしながら、視線を左手の方へ移す。
そこには、見知ったバイト仲間のルークが居た。
ロイドの手を力いっぱい握りながらも寝コケている様だった。

「どうしてルークが…。」
「お前の傍に居たいと言ってきた。」
「え?………んっ。」

クラトスの言葉に、今度はそちらに顔を向けると、大きな手がロイドの涙を拭った。
その優しい大きな手と、穏やかな笑みに、ロイドは気恥ずかしさなど忘れ、自分も笑みを浮かべていた。

「サンキュ。」
「目を覚ました時にお前が泣いていたら、ソイツも益々心配するだろう。」
「あぁ、ルークって変に心配性だからな。」

 

しっかりと涙をぬぐってもらったロイドは、もう一度クラトスに礼を述べ、ルークに握りこまれている左手に力を込めながら目を閉じた。

「………。」

クラトスは、ロイドの身体が蒼い光を帯び始めるのを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

『ルーク。』

ロイドの声が聞こえてきて、ルークは振り返る。
そこには、やはりロイドが居て…お日様みたいに笑って、自分に手を差し出してきた。

『起きろよ。』

ロイドの口は笑みを象ったまま動いていないのに、声は確かに頭に響いてきた。

「……起きたら、ロイドも起きてるよな?」

目の前の手を握りながらルークが訊ねると、ロイドはキョトンとした。

「………だって、お前…何度揺さぶってもピクリともしなかったんだ。」

ルークは、ロイドの手を握る手に力を込める。

「何度呼びかけても、目を開けなかったっ………!」

『……ルーク。』

思い出して、ルークはギュッと目をつぶる。

 


クラトスによって薬の作用から抜け出したロイドは、ぐったりとしていて、顔も青白くて……細い身体が尚更細く感じられた。
その時の恐怖を、再び思い出して、ルークは眉間にしわを寄せる。

と、頭にポンっと手が置かれる。

『心配掛けて、ごめんな。』

優しい声に、思わず顔を上げると、困ったように笑うロイドが見えた。

『何かたっぷり寝たみたいでさ、今すっごく頭がさっぱりしてるんだ。だからさ、起きて、一緒にクレスの入れてくれるコーヒー飲みに行こうぜ?』


その言葉に思わず笑みを浮かべて、ルークは力強く頷いた。

 

 

 

 

 

 


「…ん~。」
「おはよ、ルーク。」

夢と同じに、ロイドの手を掴んだままの状態にルークは安堵し、身体を起こした。
目の前の、本当に元気そうなロイドを見て、あくびをした後、笑いながら言った。


「んじゃ、クレスのコーヒー飲みに行こうぜ。」
「おう!」


ロイドの元気な返事に、ルークはくすぐったくなって、また笑った。

**********************
またまた久々更新で、ホントすみません(汗)

少し前に、こちらのブログに拍手機能を使えるようになったと知り、更新急ぎたいな~(汗)と思っていたところです。
もっとも、廃れすぎてて、拍手機能は必要ないかもしれませんが……そこは純粋に機能を楽しもうとおもっております(笑)

**********************

拍手

PR

お名前
タイトル
文字色
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
非公開コメント
この記事にトラックバックする:

忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne