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『テイルズオブシンフォニア』のロイド受けで小説を書いていきたいと思います。 今、はまっているのは、ルクロイとゼロロイです。 コメントなど頂けると、励みになります!!
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飛翔
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こんにちは。
かなり遅れて『シンフォニア』を知り、ロイド君が大好きになった飛翔と申します。
同士の方は、是非よろしくお願いします!
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ささやかなお見舞いの品

*『悲しい歌声』の続きです。




目の前の古びた2階建ての家をしばし眺め、ルークは左手のメモに目を移す。
「ここで、あってる…よなぁ?」
メモに書かれている住所は確かに、この家をさしている。
けれども、ルークはこんなボロ家(失礼)でロイドが生活しているなんて信じられなかった。
「誰だ、お前さん?」
突然、背後からかかった声に、思わずビクッとしつつ、ルークは振り向く。
「俺の家に何か用か?」
その言葉に、ルークは目を見開いた。
「じゃぁ…あなたが、ロイドの親父さん…ですか?」



「なんでぇ、ロイドの見舞いに来てくれたのか。」
豪快に笑うダイクに、ルークは少し緊張しながらも、しっかりと自己紹介をした。
が、ルークが名乗った後、ダイクはすぐに反応した。
分厚い眉に隠された目が、少し見開かれたように見える。
「そうかそうか、お前さんがルークか。」
「俺を…知ってるんですか?」
ルークが控えめに問うと、ダイクは門を開けながら、明るい声で言う。
「あったりまえよ。ロイドの奴が、嬉しそうにいつも話すからなぁ。」
「っ!…そ、そうですか。」
ダイクの言葉に、思いっきり赤面しながら、ルークは促されるままに、ロイドたちの家の中へと足を踏み入れた。



今日、本当はバイト先で会えるはずだったロイド。
だが、ロイドは来なかった…。
先輩であるクレスに訊けば、どうやら高い熱が出ているらしい。
かなりかすれた声で電話をしてきたと聞いて、ルークは居ても経ってもいられなくなった。
だから、早めにバイトをあがらせてもらい、こうしてロイドの家へとやって来たのだ。
ダイクにロイドの部屋は2階だと教えてもらい、ルークは静かな足取りで階段をのぼっていった。


コンコンッ


「…ロイド。」
「…………………。」
「寝てるのか、ロイド…?」
「…………………。」
ドアの前で呼び掛けてみるも、返答はなし。
ルークはゆっくりとドアノブを回し、室内へと入っていった。




「…………………。」
室内は、ルークからしてみれば狭く感じられるものだった。
窓の傍にあるベッドの上でロイドが瞳を閉じていた。
足音を消して近付けば、すぅすぅと静かな寝息が聞こえてくる。
熱のせいか、顔は赤いが、表情はそれ程、苦しそうではなくて、ルークは一つ息を吐きだした。
傍にあった椅子を寄せ、ルークはロイドの頬にそっと手を触れさせる。
頬は、熱かった。
ルークの手を心地よく感じたのか、ロイドの顔が不意にルークの手にこすりつけられる。
「っ!」
「んー…。」
「…ロ、ロイド?」
思わず手を引きそうになるも、少し唸るロイドは起きる気配もなく、ルークの手に頬を寄せている。
…先ほどより、表情が和らいだ気がする。



ルークは、空いている方の手で、眠るロイドの髪を撫でながら、先日の出来事を思い出していた。






「まさか、貴様があのファブレ家の子供とはな。世の中、分からないものだ。」
突然、かけられた声に振り向けば、そこには、この間ロイドを攫い、しかもコンサートのチケットを(勝手に)寄越した青い髪の男…ユアンが立っていた。
「なっ!お前!!!」
警戒心を丸出しにし、ルークは構える。
「まぁ、待て。私はロイドについて訊きたいだけだ。」
「やっぱりかよっ!ふざけんなよ、ミュージシャンだか芸能人だか知らないけどなぁ、訴えるぞっ!?」
きつく睨みあげるルークに、ユアンはため息をつき、やれやれ…と小さく呟く。
「私は不審者などではない。ロイドの父親の友だ。」
「ロイドの親父さんは、知らないって言ってたらしいぜ!?」
「親父…養父か。それはそうだろうな…。」
「…なんだよ、何を…。」
何か…意味ありげに、笑うユアンに、ルークは嫌な予感がする。
知りたいような…知ってはいけないような…………………そんな事実をこの男が持っている事を、ルークの頭は既に理解していた…。


「良い事を教えてやろう。ロイドがもし、私が思っている者なら…――――――――――――――」






「んっ………ル、ク…?」
小さな声にハッとして顔をあげれば、ルークの手に自分の手を重ねるロイドと目が合った。
「どうか…した、のか?」
「え?」
寝ぼけ眼で、ロイドはルークに問う。
「なんか…難しい顔、してる…。」
「そう、かな?ははっ………。」
思わず誤魔化そうと笑ったが、ネガティブ思考に塗りつぶされた頭が、それ以上笑い続ける事を拒否した。


こつん


「ロ、イド?」
「…ルークの体温、気持ちいいな。」
熱い両手をルークの頬へと伸ばし、ロイドは自分とルークの額をくっつけた。
ロイドの熱が…ぬくもりが、ルークに伝わってくる。
かすれたロイドの声に今更気がついて、ルークはポケットに入っていた飴玉を取り出す。
「んむっ?」
ポイッとロイドの口の中へと放り込んで苦笑する。
「サンキュ…。」
「どういたしまして。」
お金のかかったものをあげても、ロイドはあまり喜ばない人間だ。
それを知っているから、ルークは見舞いに花も持ってはこれなかった。
けれど、ただの飴玉一つで、ロイドはとても嬉しそうに笑ってくれる。
それが、ルークには、たまらなく嬉しかった。


「ありがとな…。」
「え?」
「見舞いにきてくれたんだろ?」
「あ、う、うん。」
慌てて返事をすると、ロイドは照れくさそうに微笑んだ。
至近距離で見るロイドの瞳は、熱のせいで潤んでいた。
無意識に…ゆっくりとルークの手がロイドの両頬を包み込む。
「早く…元気になれよな。」
「あぁ、サンキュー。」
互いの体温が心地よくて、2人はしばらくそのままでいた。









『ロイドがもし、私が思っている者なら…あいつの本当の父親は生きている。』



ユアンの言葉が、ルークは頭の中から離れなかった。
ロイドに伝えるべきなのか、それとも伝えないべきなのか…。



**********************
久々に現代パロの続きを書きました。
パパが出せなかった…(TT;)
『ほのぼのルクロイ』と、表示すべきだったでしょうか?(汗)
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