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『テイルズオブシンフォニア』のロイド受けで小説を書いていきたいと思います。 今、はまっているのは、ルクロイとゼロロイです。 コメントなど頂けると、励みになります!!
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飛翔
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自己紹介:
こんにちは。
かなり遅れて『シンフォニア』を知り、ロイド君が大好きになった飛翔と申します。
同士の方は、是非よろしくお願いします!
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導きの手

*設定は親子(現代+パロ)のものです。
内容はルクロイの出逢いです。



「ルークっ!あぁ、良かった…」
泣きながら抱き締めてくる母上の口は、確かに俺の名を呼ぶのに、その目は[オレ]を見てはいなかった…。


兄が重い病で倒れた時、元々体の弱い母上は、ショックで食事が喉を通らなくなった。

意識の戻らぬ兄、アッシュ。
痩せこけていく母上。
…父上は、金にものをいわせ、母上を救い出すすべを見つけ…実行した。


自分たちの息子は、初めから1人だった事にしたのだ。
アッシュの名は、母上の記憶から消され…『重い病にかかった愛しい息子』は、[ルーク]になった。

俺は、アッシュを忘れた母上が望む通りに、ファブレの名に相応しい品格を得る教育を受け、半ば軟禁状態で16歳まで育った。


そして、半年前…アッシュの意識が戻ったと海外の大病院から連絡が入った。
父上は大喜びし、俺と母上を連れて、アッシュのもとへ急いだ。
アッシュに「母上」と呼ばれた瞬間、母上の記憶は戻った。

母上は自分の弱さを恥ながらも、アッシュを抱き締めていた。
その目は…しっかり『アッシュ』を見つめていて…俺は怖くなった。

アッシュが戻ったならば、俺は用済みなんじゃないかと……。




俺は、ずっと自由になりたかった。
自由に外に出たかった。
不満ばかり口にしては、使用人たちを困らせてきた………。
…今思えば、我儘三昧だった。

アッシュは家には戻ってこなかった。
そのまま海外でリハビリをする事にしたらしい。
その事に、少しの寂しさと…安堵を覚えつつ、感覚のない日々を過ごした。




そして、俺は出会ったんだ………。




『何やってるんだ、お前らっ!?』
真っ直ぐな瞳は、強く降り続ける雨の中でも、少しも揺るがない。
俺の胸倉を掴んでいた奴の顔に向けて、ビニール袋が投げられた。
『がっ!』
胸倉から手が離れたと気付いた時…俺は既に、走り出していた。
暗闇をさ迷っていた心を、光へと導くように、温かい手が俺を引っ張っていたから……。


連れてこられた先にあったのは、喫茶店だった。
木材で出来た古臭い建物……けれど、中の少し暗い灯りは優しくて…温もりみたいなものを感じた。

『わりぃ、クレス。少しだけ匿ってくれ。』
息を乱し、俺の手を握ったまま、カウンターに立つ男に話しかけるソイツ…。
『構わないけど…。あまり危険な事に首を突っ込んじゃだめだよ、ロイド?』
穏やかに笑いながら、男は俺たちをカウンターまで招いた。

座ると、漸く俺の手を放し、ソイツは笑った。
『お前、珈琲好きか?クレスの入れる珈琲は美味いんだぜ!苦いのダメな俺でも飲めるんだ。』
『……………。』
『?どうした?』
あまりにも真っ直ぐに笑いかけてくるから、どう返していいか、解らない俺に、珈琲が出される。
『どうぞ。』
『えっ、……あ、……えっと。』
思わずポケットを探ると、カウンターの男が苦笑しながら言う。
『お金はいいよ。まだ準備中だから誰もいないし、1人分入れるのも2人分入れるのも、そう変わらないから。』
『早く飲んでみろよ。絶対美味いって思うからさ!』
隣のソイツにも進められて、カップに口を付けて傾ける。
『っ…。』
熱いコーヒーが、ついさっき殴られて切れた口内を刺激する。
思わず顔をしかめると、ソイツの手がスッと俺の頬に触れた。
『…結構殴られた、みたいだな。』
どこか痛そうな顔をするソイツが、不思議で仕方がなかった。
殴られた痛みを超越する手の温もりに…気がつけば俺は縋りついていた……。



『俺はロイドだ。よろしくな、ルーク!』
満面の笑みと共に差し出された手を、強く握り返す。
『よろしくな、ロイド。』

俺は、ロイドが『FANDOM』という、その喫茶店でアルバイトをしているのだと聞き、自分も働きたいと、クレスという男に頼み込んだ。
クレスは快く承知してくれ、ロイドも変わらぬ真っ直ぐな笑顔を向けてくれた。


思わず縋りついてしまったロイドの手…………。
俺の手とあまり変わらない…いや、比べたら俺より少し小さい位なのに、ロイドの手はあたたかい。
彼の心と同じように…。
縋りついた俺を、少しも不審な目で見る事なく……ただ驚いて、そして俺の手にもう片方の手を重ねてくれたロイド………………。
ロイドは、何も話さない俺に、無理に話さなくてもいいと言って、笑った。


街を彷徨い歩いていたら、からまれた。
3人に囲まれたが、恐怖心はなかった。
小さい頃から、護身術は習っていたから。
だが…いざ手を振りかざすのを躊躇ってしまった。
習ってはいても、実際に人を傷つけた事はなかった。
俺は…誰かを傷つけて堪えられる程の強さすら、持ち合わせてはいなかったんだ。

…そうロイドに言ったら、ロイドは怒った顔をして言った。
『そんな強さ、意識する必要ないだろ!』
不要だとは言わなかったロイド。
『逆に、何かを傷つけても何も感じなくなっちまったら…ダメだろう?』
真剣な言葉から溢れてくる優しさ。
ロイドの言葉は、何処か説得力があった。
明確な理由がない言葉…。
もっともらしい理由がついていないからこそ、スッと心に染み入ってきた。


**********************
ルーク視点で、過去ネタ。
現代親子パロなのに、パパは出てきません(汗)

あくまでも番外編ということで…。
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